不安で仕方が無い毎日を、彼が抱き締めてくれる。
自分でも気付かなかった、独りで家にいることの辛さを、
彼が融かしてくれる。
故郷を遠く離れ、知らない間に、淋しさが溢れ出していた。
仕事を辞め、友人も無く、一日中家で過ごす日々。
そんな中、有り余る時間の過ごし方を、見つけられないでいた。
一所懸命、蓋をして、閉じ込めていた感情を、
彼はそのまま抱き締めてくれる。

けれど、私は知っている。
答えは自分の内にしか無いことを。
早く見つけなければ、ここから抜け出す鍵を。
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# by clear_blue_sea | 2008-04-22 10:04
旅先で
ひとりで出かけた旅先で、年下のSさんと知り合った。

当初、彼が私に対して見せてくれる好意の真意が分からなかった。
けれど、彼は言った。
「あなたを愛してしまった」、と。
既婚者だと知りながら、それでも愛してしまったのだと言う。

どこか冷めた気持ちで、
この人は私の何を知っているのだろう、と、不思議に思った。
出逢ってすぐに、私の何を、愛するというのだろう。
どうして「愛」を、こんなにも軽率に振り撒けるのだろう。
じっくり育まなくては、何ものにもならないものなのに。

そんなことを思う一方で、悪い気もしない自分を、醜いと思う。
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# by clear_blue_sea | 2008-04-03 19:43
選ばなかった人生
Tは傷ついただろうか。

2年ぶりにかかってきた電話で、結婚したことを伝えた。
Tにとっても、もう過去だっただろうか。
私はまた、傷つけなかっただろうか。

2年ぶりにかかってきた電話で、選ばなかった人生を想像しようとした。
けれど、想像できなかった。
今、私はここにいるから。
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# by clear_blue_sea | 2007-07-25 19:57
知ってる?
ねぇ、知ってる?
私、あなたのことが好きなの。

ねぇ、知ってる?
多分なんだけど、世界中の誰よりも、
あなたのことを深く想っていると思うの。

あなたが世界中の誰よりも想う人は、私じゃなくていいの。
大事なことは、私が、あなたを大切に想っているということ。

深く、深く、想っているの。

乾季のサバンナで、小さな草が雨を恋うように。
鳥が、生まれたばかりのひな鳥を慈しむように。
与え続ける太陽のように。
吹く風のように。

ねぇ、知ってる?
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# by clear_blue_sea | 2007-06-28 18:45
「今」
まだ雨の降らない六月。
去年の今頃は、こうしてここで暮らしていることなんて、想像もしなかった。
一昨年の今頃は、その前の年の今頃は、そのまた前の年の今頃は、
一体どうしていたのだろう。

いろんなものを積み重ねてきた。
そして、今がある。
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# by clear_blue_sea | 2007-06-07 09:19
ゴールデンウィーク、彼はいろんな場所に連れて行ってくれた。
まるでデートしているみたいだ、と私は感じた。

彼は言った。

 遠距離で、付き合っている時にはあまり会えなかったから、
 今、デートしているんだよ。

そうだったのか、と私は思った。

どきどきしながら、彼と手を繋ぐ。
道を歩く。
背中を見つめる。

そしてまた、どきどきする。
不安になる。

遠距離で、あまり会えなかったから、
今、私は恋している。
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# by clear_blue_sea | 2007-05-11 16:34
知っている。

あなたが私を大切にしてくれていることなら、
ずっと前から気付いてる。

そして、あなたの心の中からあの人が消えないのではなく、
“あの人”は私の心に住んでいるのだということも。

私が創り出した影。

お願い、動き出さないで。
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# by clear_blue_sea | 2007-05-08 19:44
あなたは、結婚がしたくて、私と付き合い始めた。
だからここには、愛が、無い。
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# by clear_blue_sea | 2007-04-25 22:26
春が来た。
生まれ育った街とは、違う春だ。
たくさんの鳥が鳴き、虫たちが這い出て来る。
雑草が、一斉に花を咲かせる。
夥しいほどの蒲公英は、まるで黄色のじゅうたん。
田んぼに水が入ると、蛙たちが鳴き始める。
初めて目の当たりにする春。
これが、この町の春だ。

故郷から遠いこの町は、淋しい町だ。
なかなか馴染めなくて、私は故郷の街を夢見た。
都会の雑踏が恋しかった。
人ごみが、私にとっては心を落ち着かせるものなのだと、初めて気付いた。
けれど、春、俄かに活気付いてきた。
故郷には無かった田畑、土が剥き出しになった空き地、ここでは"季節"が近くにある。

彼との関係は、薄氷の上で、密やかに続いている。
彼は心の中であの人を愛し、私は何もかもを捨てて彼を愛している。
ほんの少しバランスを崩せば、私たちが立っている足元の氷は、いとも簡単に割れる。
だから、そっと、彼を愛することにしている。
温もりさえ求めずに。

いつか、何かが、変わるのだろうか。
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# by clear_blue_sea | 2007-04-24 17:11
遠い恋の終りと、始まりの不安。
周りに結婚の報告をし、「おめでとう」の言葉を戴く。
その度に、とても恥ずかしくて、
けれど、少しずつ、結婚するのだという実感のようなものが生まれてくる。

しないつもりだった結婚式を、することになったのは、
お互いの親たちに感謝の気持ちを伝えるため、なのだと思う。
神様や仏様や、ましてや異国の祭壇の前で愛を誓う、
なんていうのは、何か違う気がしたから、
家族だけで、シンプルな結婚式をすることにした。
指輪なんてしないから要らないし、
誓いのキスなんていうのは、したい人がすればいい。
だけど、ドレスだけは着せられることになった。
黒引き振袖には少しだけ憧れていたのだけれど叶わなかったから、
お店の人が最初に持ってきた真白のドレスに決めた。

ほんとうは、不安。
彼と、これ以上、近づくことが。

遠距離で始まった恋が、もうすぐ終る。
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# by clear_blue_sea | 2006-08-23 00:02


遠い日のこと、今のこと。
by clear_blue_sea
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